この連載では、これまで2回記事を掲載しました。久々なので要約しておくと、1回目の記事では、出口調査のデータは投票者しか含まないため、若者一般の自民党支持率はわからないと指摘しました。また、出口調査の年代別自民党得票率に投票率を掛けて絶対得票率を見ると若年ほど自民党へ投票する割合は低くなっていました。一方、2回目の記事では、各社の年代別自民党支持率はさまざまで、たとえば20代が他の年齢層に比べて特に高いとは言えないということを示しました。
ただし、この2回で見た若年層の投票行動と支持政党との間には、大きな乖離があるように見えます。第1回の記事で見たように、若年有権者のうち自民党に投票している割合は低いということは、少なくとも投票所に向かって同党に投票する程度の強さの支持においては、若者ほど自民党支持率は低いと言えます。一方、第2回の記事で見た世論調査の政党支持率では自民党は若年層で一定の支持率となっており、誤差があるにしても高齢層に対して若年層のほうが明確に低い支持率であるとは言えません。
第1回の記事の最後で「なぜ若年層で自民党支持率が高いのに選挙ではみんな棄権してしまうのか、という疑問が湧くかもしれません」と述べましたが、今回からその答えに近づいていこうと思います。今回の記事では、この選挙結果と世論調査結果の乖離の根本にある世論調査の歪みについて紹介します。続きを読む
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