
この図1は参院選前に「政治プレミア」に掲載した意見募集記事(菅原琢「憲法改正は争点として有効か」『デジタル毎日』2019年7月18日)で使用した図です。野党が憲法改正の是非を取り上げることは、憲法改正反対派を惹きつけるという点で一定の成功を収めていますが、憲法改正に特に意見を持たない層、関心のない層に対し野党は(与党も)アピールできていない、ということがこの図に示されています。
社会的弱者に支持されない野党の表と同様に北海道知事選ネット調査を用いているため、全国の傾向を示していない可能性がある点はご注意ください。
この北海道知事選ネット調査を用いて政治プレミアのほうで論じたことですが、世論調査にはどうしても政治に関心がある層が過大に代表される傾向があります。低関心層を(無理やり)より現実に近いくらいの割合に反映させて図1を作成しなおしたのが次の図2です。

この図2では投票棄権層を実際の北海道知事選の投票率・棄権率に合わせて重みをつけて集計しています。詳しい方法はひとまず政治プレミアの該当記事をご参照ください(菅原琢「世論調査は人々の意見を正しく反映しているのか(後編) 政治から遠ざかる人々の声をいかに拾うか」『デジタル毎日』2019年5月14日)。
この補正の結果をひとまず現実の傾向に近いと信じるなら、憲法改正について「どちらとも言えない」と考えているような層の半数近くは棄権しており、この質問に答えない層では7割が棄権しています。大事なのは、これらの層が決してごく少数ではないことです。これらの層に訴えかける別の武器(政策)がなければ野党は支持と得票を伸ばせないでしょうし、そうした層の意見は政治に反映されにくいままということになります。
関連エントリ:デジタル毎日「政治プレミア」寄稿記事一覧
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