2020年01月28日

安倍首相演説:島根県江津市の転入が増えたのは若者の起業促進策が成功したからでなく〇〇〇〇のため

 安倍晋三首相は、施政方針演説で地方創生政策に絡み、島根県江津市(ごうつし)において「若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました」と論じました。

 「社会増」とは、人の生死以外の理由による人口の増減を指します。人が引っ越して来たり(転入)、引っ越して行ったり(転出)することによる人口の増減です。イメージとしては、自治体が発展していれば社会増、衰退していれば社会減となります。つまり、地方創生政策が成功して自治体が発展しだしたと主張しているわけです。

 しかし、政府統計を分析すれば江津市において若者の起業促進が社会増をもたらしたと述べることはできないことがわかります。以下、これを3つの図表により指摘しています。

 なお、この結論を導くまでの筆者の分析と考察の経過はツイッターで呟きました。これは別エントリでまとめ、公開していますので、参考にしていただければと思います。続きを読む
posted by suga at 05:52 | 分析記事

2020年01月27日

安倍首相演説:島根県江津市が若者の起業を積極的に促した結果、人口の社会増を実現させたというのは本当か


Prof. Nemuroというアカウントがここでまとめた内容を典拠なく利用した記事をnoteに上げています。ご注意いただければ。
https://megalodon.jp/2020-0128-2022-57/https://note.com:443/prof_nemuro/n/n53a85c81b6e3



 安倍首相の施政方針演説で、島根県江津市が「若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました」と述べられていました。

 太平洋ベルト外の人口流出自治体が、工場の立地や公共事業を理由とした大規模転入を介さずに、普通に雇用を創出して社会増を達成するのはなかなか難しいと思います。なので何か裏があるのではと直感しました。その調べた結果を1月28日朝に長々ツイートしたのでこのエントリでまとめておきます。

 なお、実際にデータを示して確認したエントリが別にあります。合わせてお読みいただければ。
 →安倍首相演説:島根県江津市の転入が増えたのは若者の起業促進策が成功したからでなく〇〇〇〇のため

 事前にある程度調べて考えた結果を流しているとはいえ、不可思議なデータ言及に出くわしたときにどのように捉え、どのように調べるのか、参考になると思います。数字が事実かどうかまず調べ、その背景を探ることができる詳細なデータを確認するというのが基本です。

 読むのが面倒という人もいると思うので、結論を述べておけば、確かにある一定期間について転入が転出を上回る社会増となっていたが、それは15-19歳男性の就学による転入が統計上急増したことによるものであり、ほとんどは若者の起業により生じたものではないと推測される、となります。続きを読む
posted by suga at 12:52 | 分析記事

2019年09月07日

世論調査は人々の意見を正しく反映しているのか(後編) 政治から遠ざかる人々の声をいかに拾うか

 第9回世論・選挙調査研究大会(2019年9月21日)のパネル・ディスカッション「出口調査、世論調査、まだ大丈夫だったか?」に討論者として登壇することになりました。今回の討論では、デジタル毎日「政治プレミア」に寄稿した全2回の記事「世論調査は人々の意見を正しく反映しているのか」で論じた内容を下敷きに論点を提示する予定です。この記事は会員でないと閲覧できないことから、こちらでも公開することとしました。
 なお、毎日新聞提供の調査の細かい数字に関してはこちらで詳細を公開いたしません。表では※と表記し、グラフでは範囲をぼかしていますので、気になる方は「政治プレミア」でご確認ください。

・関連リンク
第9回世論・選挙調査研究大会プログラム(pdf)
 なお大会への参加は登録が必要で、参加は有料です。詳しくはこちらをご覧ください。
元記事:菅原琢「世論調査は人々の意見を正しく反映しているのか(後編) 政治から遠ざかる人々の声をいかに拾うか」(デジタル毎日「政治プレミア」)


世論調査は人々の意見を正しく反映しているのか(後編) 政治から遠ざかる人々の声をいかに拾うか(2019年5月14日公開)

 前編では、マスメディアの世論調査の回答者が有権者全体の「縮図」となっていないのではと指摘した。今回は、回答者の構成にどのようなゆがみが生じているのか例示したうえで、有権者全体の世論を知るために何をすればよいか考えていきたい。続きを読む
posted by suga at 22:30 | 分析記事

2019年09月06日

世論調査は人々の意見を正しく反映しているのか(前編) RDS法、オートコール、ネット、3種の調査結果を比較する

 第9回世論・選挙調査研究大会(2019年9月21日)のパネル・ディスカッション「出口調査、世論調査、まだ大丈夫だったか?」に討論者として登壇することになりました。今回の討論では、デジタル毎日「政治プレミア」に寄稿した全2回の記事「世論調査は人々の意見を正しく反映しているのか」で論じた内容を下敷きに論点を提示する予定です。この記事は会員でないと閲覧できないことから、こちらでも公開することとしました。
 なお、毎日新聞提供の調査の細かい数字に関してはこちらで詳細を公開いたしません。表では※と表記し、グラフでは範囲をぼかしていますので、気になる方は「政治プレミア」でご確認ください。

・関連リンク
第9回世論・選挙調査研究大会プログラム(pdf)
 なお大会への参加は登録が必要で、参加は有料です。詳しくはこちらをご覧ください。
元記事:菅原琢「世論調査は人々の意見を正しく反映しているのか(前編) RDS法、オートコール、ネット、3種の調査結果を比較する」(デジタル毎日「政治プレミア」)


世論調査は人々の意見を正しく反映しているのか(前編) RDS法、オートコール、ネット、3種の調査結果を比較する(2019年4月30日公開)

 今回の統一地方選の知事選の中で、国政与野党の統一候補が対決した唯一の選挙であった北海道知事選において、筆者を代表としたグループはインターネットによるアンケート調査を行った。この調査の主な目的は、マスメディアの世論調査について批判的に検証することである。しかし同時に、あるいは必然的に、現代日本の政治と人々の関わりを浮き彫りにするものとなった。

 今回は、前編、後編の2回にわたってこの調査の結果を簡単に報告し、現代日本の政治を理解する際に有意義と思われるデータと議論を提供したい。この前編では、世論調査に関する論点を整理するとともに、毎日新聞が実施した選挙期間中に結果予測のために行った調査(情勢調査)との比較を行う。続きを読む
posted by suga at 23:59 | 分析記事

2019年08月11日

憲法改正への賛否と投票行動


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 この図1は参院選前に「政治プレミア」に掲載した意見募集記事(菅原琢「憲法改正は争点として有効か」『デジタル毎日』2019年7月18日)で使用した図です。野党が憲法改正の是非を取り上げることは、憲法改正反対派を惹きつけるという点で一定の成功を収めていますが、憲法改正に特に意見を持たない層、関心のない層に対し野党は(与党も)アピールできていない、ということがこの図に示されています。

 社会的弱者に支持されない野党の表と同様に北海道知事選ネット調査を用いているため、全国の傾向を示していない可能性がある点はご注意ください。

 この北海道知事選ネット調査を用いて政治プレミアのほうで論じたことですが、世論調査にはどうしても政治に関心がある層が過大に代表される傾向があります。低関心層を(無理やり)より現実に近いくらいの割合に反映させて図1を作成しなおしたのが次の図2です。続きを読む
posted by suga at 11:15 | 分析記事