2019年07月23日

2019年参院選の雑感


(投開票に際しツイートしたものをまとめた記事です。)

■結果全体に関し
 今回の参院選、大勢は前回とあまり変わり映えしない選挙結果。投票率が低いままで、結果を大きく動かしうる層が棄権しているので当然か。55年体制下の自民大勝が当然の参院選に回帰したような印象。

 「3分の2」が強調されるのも55年体制下参院選に似ている。それだけ差があるということだけど、公明が移動しての差という点は留意しておきたい。

 出口調査の傾向からは、比例得票率は自公あわせ50%超くらいか。有効投票率は50%切るだろうから、絶対得票率は25%くらい。これで政権を維持できるのは、何度も言うけど、自公が弱いとか制度がひどいよりまず野党が票を集められないことが問題。投票率が低いのではなく野党が票を呼べないのが問題。続きを読む
posted by suga at 21:16 | 日記

菅原琢「多くの人々の声すくうには」『朝日新聞』2012年8月30日朝刊


 政府は、原発政策の今後の方針を策定するに当たり、あらゆる手を尽くして「民意」を探ろうとしている。パブリック・コメントを募集し、全国で意見聴取会を開催するのに加え、メディアの世論調査を収集し、討論型世論調査を主催している。これらの作業経過はネット等を通じて公開され、政策決定の場と人々の間の双方向性が確保されている。自民党政権時の政策決定とは隔世の感がある。

 こうした政策過程の導入は、政権交代、そして原発事故が過去の政策決定の密室性を浮き彫りにしたことが要因となっていることは間違いない。しかし、さらにその背後には、日本政治の構造的な問題が横たわっている。それは、人々と政治の距離である。草の根の人々の声を継続的に吸収する仕組みが、日本の政界では欠如しているという問題である。おそらく、広く人々の声を聞くことができていないという自覚があるからこそ、民主党政権はここまで政策決定過程をオープンにしたのだろう。続きを読む
posted by suga at 12:52 | 懐かしい文章

2019年07月22日

選挙制度の不公平に対抗するためには野党間協力が必要

(2013年参院選時の記事を再掲したものです)

 前エントリで示した制度と状況を野党が打破するためには、都議選の分析で指摘したのと同様、選挙協力を行う必要がある。参院選挙の歴史上、1人区で野党が自民党に対し勝利を収めたのはわずかに2回、89年と07年のみだが、このときは野党各党が協力し戦っている。拙著『世論の曲解』で述べたが、対抗馬が明確になれば票が流れ込む。逆に自民党圧勝が予定されていれば、棄権票を増やすだけだろう。

 もちろん、基本政策が異なる政党同士が単純に協力をすることは困難でもある。たとえば共産党がみんなの党の候補を支援するようなことは難しいと思われる。ただ、それでもある程度協力しなければこの1人区のハンデキャップを克服することは難しい。参院選は半数改選であり、次回選挙で野党側に風が吹いたとしても、今回の選挙で大差を付けられては安定政権樹立は困難である。続きを読む
posted by suga at 18:32 | 分析記事

参議院選挙制度最大の問題―自民党に下駄を履かせる「小中混合制」

(2013年参院選時の記事を再掲したものです)

 参議院選挙制度は重大な問題を孕んだ選挙制度である。どのような選挙制度も多少の無理や限界はあるが、参議院選挙制度のそれは度を越している。

 『Voice』2012年5月号の時評「農村偏重を生み出す参院選挙制度」やデジタル版イミダスの解説「重大な欠陥をはらんだ参院の選挙制度」で参院選挙制度の問題点について整理しているが、ここではその中で最も重大な問題であるにもかかわらず、世の中一般に認識されておらず、一票の格差とは違ってメディア等で論じられることもない、小選挙区と中選挙区が混合された選挙区制(以下、小中混合制)について分析しておきたい。この制度により、自民党は他党に比べ参院選を有利に戦うことが可能となっている。続きを読む
posted by suga at 18:05 | 分析記事

2019年07月16日

菅原琢「民意は単純ではない」『朝日新聞』2014年2月26日朝刊17面


 選挙結果が報じられる際、新聞をはじめとするメディアには、しばしば民意という言葉が踊る。有権者の思いや意見を代弁しているという自負があるのだろう。だが、選挙に意味を見出すのはそれほど簡単なことではない。先の東京都知事選を例に考えてみたい。

 この選挙では、田母神候補が4位に入ったことが一部メィアの注目を集めた。たとえば本紙では、「田母神氏60万票の意味」と題する特集記事を組んでいる(一一日2面)。この記事を読むと、若者を中心とした過激で「愛国的なネットユーザー」に支持を広げて大量得票した、というのが話の筋となっている。

 ただ、この記事を丁寧に読んでも、この説を支持する明確な根拠は書かれていない。同候補に投じた人々が、愛国的で過激な「ネット保守」と呼ぶべき人々だというデータは示されていないのである。

 むしろこの記事に登場する数字は、わざわざ取り上げることに疑問を投げかける。20代の24%が同候補に投票したとする出口調査結果は、投票率を勘案すれば、同候補に投じたのは20代有権者の10%もいなそうだというデータである。61万票という票数自体、東京都の有権者の6%に満たない。過去に同程度の得票数で落選した柿沢弘治、吉田万三、小池晃、松沢成文は、ここまで大きな扱いを受けていない。

 この記事に限らず、メディアでは田母神票=「過激な保守」という前提で論評が行われた。ここに読み違いがあると筆者は考えている。続きを読む
posted by suga at 02:46 | 懐かしい文章